旅人文化ブログなんでも版

旅ってなんだ? 旅人ってどんな人?
よく分からないけど、旅って面白い!
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テロリストだったかもしれない自分

もしかしたら私もテロリストだった、
そんな人生を送っていた可能性もあったのかな、と思うことがある。
 
90年代の後半から何の価値も生み出さないごくつぶしバックパッカーだった私。昨今の意識の高い旅人とは対照的な、生産性のかけらもない旅の行き当たりばったりの道中、とくに共産圏の国境で常に足止めをくっていた。

その時は神戸からフェリーで中国の天津へ渡り、モンゴルを経由してシベリア鉄道に乗って、ロシアを見た後にヨーロッパへ行こうと思っていた。計画はものすごくざっくり。ヨーロッパ行きはすでに決めていたので日本でユーレイルパスを購入していたが、そこへ行くまでのシベリア鉄道やロシアのビザなどは現地で情報を調達してなんとか行けると思って出発した。

時代は北朝鮮がテポドンを日本に向けて発射するとかしないとかいう頃。
モンゴルの安宿でグダグダしていたバックパッカーと一緒に、ウランバートルにある北朝鮮大使館(モンゴルと北朝鮮は国交がある)にたまごでも投げに行くか!とか笑いながら言っていたが、結局見にはいったものの投げずに帰って来たしょぼい記憶がほんのり残る。

その旅のはじめ、私は北京で長かった髪を坊主にした。
バイト先で出会った中国人の友人の家にお世話になっていた私は、彼女の家の近くの舗装のされていない埃っぽい道を歩いていた。ふと薄汚い床屋をみつけて中に入った。そして髪を剃るように身振り手振りでお願いをした。

長い旅で髪の毛を洗ったり乾かしたりするのは面倒だし、日本ではなかなか坊主頭になんてできない、そんな風に思っていた。でもガリガリ髪の毛を頭頂から剃られて行くと、生来の未練がましい性格が全面に出て来て、下の方の毛だけ残してもらうようにストップをかけた。そこは二本の細い三つ編みにして帰国までずっとそのままだった。三つ編みをほどくと落ち武者のような情けない髪型になった。

女性の店員さんは、はじめは戸惑いながら、でも嬉しそうにがっつりと髪の毛を切って、その毛をきれいにまとめて引き出しにしまった。今思えばあれはカツラ用か何かに売られていったのかなと思う。

そのヘアースタイルで北京からウランバートルへ、意気揚々と、これからシベリア鉄道への旅の始まりだ!と移動。その鉄道には夏のシーズンだということもあり、多くの日本人が乗っていた。みんなと仲良くなって旅もどんどん楽しくなる。が、しかし、モンゴルとの国境で、他の日本人はパスポートを見せてすんなり審査が終わるのに私だけ別室に呼ばれてしまった。

結局、鉄道が出発する間際まで別室に閉じ込められ、直前に戻ってよい、と許可がでてホッとしたのを覚えている。何が問題だったのかの話も無かったので、みんなからはその髪型が原因だ、と笑われた。

このような足止めはその後もあり、自分では一体何がどうなっているのか分からなかったのだけど、しばらくのちのインドでその理由を知ることになる。

バングラデシュから陸路でインドへ国境を越える時。その片田舎のイミグレーションのインド人の係官が嬉しそうにこちらを見ている。

「おまえはテロリストか?」

言っている意味が全然分からない。
キョトンとしていると、彼がパソコンの画面をみせてくれた。
そこには、テロリストと同姓同名、危険人物、というようなことが書かれていた。

インド人の係官からは、名前を変えた方がよいとかミドルネームをつければいい、とアドヴァイスをもらったけれど、そんなことはしていない。だって私の名前は、日本人からしたら「ど平凡」なんだもん。しかも漢字は違うしさ。

その時にようやく国際指名手配中の日本赤軍に同じ名前の人がいて、そのためにずっとあちこちで足止めを食らっていたということが分かる。でもその後に、彼女も、その他の日本赤軍の重要人物も逮捕されたし、時代もすっかり変わったので、足止めを食うことはなくなった。

むかし先輩方と飲んでいて、学生運動のころの話をよく聞いていた。ちょうど私の親世代。
もしも私がその時代に生まれていて、学生運動なんかに興味をもったり、惚れた男がそういう仲間だったら、なんて考えてみる。
そうしたら、おもしろいと思ったら簡単に影響を受けちゃう私なんて、テロリストにだってなっていたかもしれない。ま、そんな器があるかないかは、別の話としてね。
今の時代、そういうことを軽々しく言うとまずいのかもしれない。でもやっぱり時代とか環境とか、人間、自分が考えている以上に大きなものにジワジワと動かされているように思う。

人生って、不思議な巡り合わせだなぁ、と思う。
足止めされて無かったら、旅のルートはずいぶん変わっていて出会う人たちも全然違ったんだよなぁ。
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