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旅ってなんだ? 旅人ってどんな人?
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異境、辺境、秘境としての酒場

こんにちは、エンテツです。この前、初めてのとき、自己紹介を忘れましたが、遠藤哲夫と申しまして、1943年生まれだから、いま67歳で誕生日が来たら自動的に68歳になります。「フリーライター」という不安定自由文筆労働者をしています。


こちら、ザ大衆食のサイトに、自己紹介があります。
http://homepage2.nifty.com/entetsu/


きょう、以前に書いた原稿から探し物をしていたら、旅について書いたものが出てきたので、掲載します。これは、一昨年あたり廃刊になった『dankaiパンチ』07年10月号(飛鳥新社)の「定年旅行!?ちょっと待った!」という特集、団塊世代が定年退職する年頃で、いまでも「定年旅行」みたいなものが流行りだけど、それっていいのか?という異議申し立てを含んだ特集です。その中の「そしていま本当に行きたい旅とは? 極私的旅行の愉しみ」に寄稿したものです。

団塊世代である作家の足立倫行さんが、「我が生涯の三つの旅」のタイトルで、19歳から3年間にわたるアメリカやイギリス放浪の旅などについて書いています。

おれは「異境、辺境、秘境としての酒場」のタイトルで、このようなことを書いていました。


 ある日、電車に三〇分ばかり乗って都内の某所へ飲みに行った。ところが気に入っている酒場が二軒とも休みだった。さてどうしようか、また電車に乗るか。おれはその街で「いい大将や女将のいる安い酒場を新規開拓しよう」と思い立った。そのようにテーマを持った瞬間、旅が始まる。
 ガイド情報などの予備知識があるような店には用がない。中はどんなかわからない店の戸を初めて開けるとき、不安と緊張と期待で、胸がときめく。まさに東京に一軒しかない秘境の入り口。そう見れば、見慣れた街が違って目に映る。街は秘境や辺境だらけだ。
 うーむ、この酒場の佇まいは、アヤシイがなぜかそそられる。入るか、避けたほうがよいか。もしかすると中には未踏の奥地よりコワイ大将や常連客がいて、とんでもないものを威張って食べさせられるかも知れない。何かあったら逃げ出す口実が必要かな。こんなときはこうしよう、ああしよう。考えながら歩いているうちに気分は完全に非日常だ。
 そして酔いがまわった頭で気がついてみれば、酒場の大将や女将と、陽気に過ごしている。初めての人たちと、そこで生きている物語を紡いでいる。たしか、どこか異境の酒場で、こういうことあったよなあと思う。ああいい旅をしたと満足し、フラフラ帰路につく。
 「その気になって、しかるべきお金さえ出せば」「まあだいたい世界中どこにでも行ける」「いちばん大事なのは、このように辺境の消滅した時代にあっても、自分という人間の中にはいまだに辺境を作り出せる場所があるんだと信じることだと思います」と村上春樹さんは述べている(『辺境・近境』新潮文庫)。自分でテーマや物語を作り出すのだ。でも近頃、「立ち飲みツアー」「下町人情酒場ツアー」と称して、集団で飲み歩く姿を見かける。自立した大人の姿とは言い難い。せっかくの旅のチャンスが台無しではないか。

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